壁挿し対応ソーラーモバイルバッテリー「Solly」徹底レビュー|小型・大出力の実力を検証
【この記事の要約】 Kickstarterで支援募集中の「Solly」は、モバイルバッテリー・壁充電器・トラベルアダプター・ソーラーパネルを1台に統合したコンパクトなデバイス。固体電池搭載・20,000mAh・合計最大出力300W・壁コンセント直挿し対応という、かなり攻めたスペックを備えている。本記事ではスペックの読み解き方、注意すべき点、既存製品との比較まで、率直に解説する。
モバイルバッテリー、壁充電器、トラベルアダプター、ソーラーパネル。これまで別々に持ち歩いていた4つのデバイスを、330mlの缶ジュースより小さな1台に統合した「Solly」。現在Kickstarterで支援を募集中だ。達成率は185%を突破し、55人のバッカーが支援。残り40日の時点でなお勢いを増している。
なお、Kickstarterのプロジェクト名は「Solly: 280W Solar Power Bank with Built-in Wall Charger」となっている。「280W」はUSB-Cポートの合計出力(140W×2)を指し、USB-Aの20Wを加えた「合計最大300W」とは算出基準が異なる。本記事ではキャンペーンページの表記に基づき、両方の数値を使い分けて解説する。
充電まわりの荷物、いい加減どうにかならないか

海外出張やロケ先に向かうたび、バッグの底で絡まり合うケーブルと充電器たち。モバイルバッテリー本体、それを充電するための壁充電器、渡航先のコンセント規格に合わせた変換プラグ、そしてデバイスごとに異なるケーブル。たかが「充電」のために、かなりのスペースを取られている人は少なくないはずだ。
筆者自身、仕事柄つねに複数のモバイルバッテリーを持ち歩いている。撮影現場ではノートPC用のデータバックアップ機器、モニター、ワイヤレスマイクのレシーバー – – 電気を食う機材はどんどん増える一方で、充電インフラそのものは「バッテリー本体+充電器+ケーブル+変換プラグ」という構成のままだ。
さらに、キャンプや災害時などコンセントのない環境では、ソーラー充電の選択肢も欲しくなる。だが、ソーラーパネル付きモバイルバッテリーは大きく重いものばかりで、日常使いとの両立は現実的ではなかった。
「Solly」は、こうした充電まわりの”全部入り”をポケットサイズで実現しようとするプロダクトだ。20,000mAhの固体電池を搭載し、合計最大300W出力、壁コンセント直挿し充電、ソーラーパネルまで内蔵する。2年半以上の開発を経て形になったという本製品。その設計思想とスペックを、一つひとつ見ていこう。
「Solly」の特徴と機能を徹底解説

固体電池搭載の20,000mAh|安全性と寿命のメリット・注意点
Sollyの核となるのは、ソリッドステート(固体)バッテリーだ。従来のリチウムイオン電池と比べて安全性・安定性・寿命に優れるとされ、3,500回以上の充放電サイクルに対応する。長く使っても容量が80%以上残る設計という。
安全性の面では、キャンペーンページで固体電池にドリルを直接貫通させるテストが紹介されている。発火・爆発・煙の発生がないことが示されており、従来のリチウムイオン電池との差を視覚的に明示している。加えて、耐衝撃性や防水性も謳っており、アウトドアや過酷な環境での使用にも対応するとしている。
⚠️ 固体電池に関する注意点:キャンペーンページでは「ソリッドステートバッテリー」と表記されているが、2026年時点で真の全固体電池(All-Solid-State Battery)を量産レベルで小型デバイスに搭載している製品は業界全体でも極めて限定的だ。「半固体電池(Semi-Solid)」や「固体電解質を一部使用した電池」をソリッドステートと呼称するケースもあるため、正確な電池仕様(電解質の種類、セル構造など)についてはメーカーへの確認を推奨する。
また、ドリル貫通テストは固体電池の特性を示すデモンストレーションとしては効果的だが、製品としての安全性を担保するにはUN38.3(輸送安全基準)、UL認証、PSEマーク(日本国内向け)などの第三者認証が重要だ。キャンペーンページ上ではこれらの認証取得状況について明確な記載が見当たらなかったため、支援を検討するなら直接プロジェクトチームに確認するのが安心だ。
合計最大300W出力|ラップトップ2台の同時充電に対応

出力ポートの構成は以下の通りだ。
- USB-C × 2:PD 3.1対応、各ポート最大140W(USB-C合計280W)
- USB-A × 1:最大20W
- 全ポート合計最大出力:300W
Kickstarterのプロジェクト名に使われている「280W」は、USB-Cポートの合計出力を指す。USB-Aの20Wを加えた「300W」が全ポート使用時の合計最大値となる。
デュアル140W USB-Cにより、ラップトップ2台を同時にフルスピードで充電できる。スマートPCBシステムと低電流検出機能を搭載しており、ワイヤレスイヤホンやスマートウォッチなどの小電力デバイスも、高出力機器と同時に安全に給電できる。
壁コンセント直挿し対応|110V/220V対応の壁充電器を内蔵
ここがSolly最大のサプライズだ。本体にUS/EU/UK対応のACプラグが内蔵されており、壁のコンセントに直接挿して使える。待ってくれ、壁コンセント機能までこのサイズに入っているのか。一般的なモバイルバッテリーはAC出力が必要なら別途コンバーターが必須で、壁充電機能の内蔵など聞いたことがない。
Sollyはモバイルバッテリーとしてだけでなく、壁充電器として、そしてトラベルアダプターとしても機能する。さらにパススルー充電に対応しているため、コンセントに挿した状態でデバイスを充電しながらSolly自体も同時に充電される。充電器を別途持ち歩く必要が完全になくなるわけだ。110V/220Vの両方に対応しているため、海外渡航先でも電圧を気にせず使える。
26分でフル充電?|驚異的な充電速度とその条件について
20,000mAhのバッテリーが26分で0%から100%まで充電完了するという。26分でフル充電?20,000mAhクラスでこの速度は正直異次元だ。一般的に同容量帯のモバイルバッテリーは90分から120分、最速クラスでも45分から60分程度が相場だ。Sollyはその相場を2倍から4倍以上のスピードで上回っていることになる。朝の支度中にサッと挿しておけば、出かける頃にはフル充電。この手軽さは日常の充電習慣を根本から変えるポテンシャルがある。
⚠️ 充電条件に関する注意:「26分でフル充電」はキャンペーンページに記載されているスペックだが、入力ワット数(何Wの充電器で入力した場合か)、USB PD入力の最大ワット数、使用環境の温度条件などの具体的な充電条件は明記されていない。スペック上の最大理論値なのか実測値なのかも不明だ。20,000mAh(74Wh)を26分で満充電するには単純計算で約170W以上の入力が必要となるが、内蔵壁充電器からの入力なのか、外部充電器を使用した場合なのかで実際の充電時間は大きく変わりうる。この点は購入判断にあたって追加情報を確認すべきポイントだ。
ソーラーパネル内蔵でオフグリッド対応
本体に統合されたソーラーパネルにより、コンセントのない環境でも緊急ブーストが可能だ。キャンプやハイキング、災害時など、電源へのアクセスが途絶えるシーンでの保険として機能する。
ただし、本体に収まるサイズのソーラーパネルの面積には限界がある。キャンペーンページにはソーラー充電時の出力ワット数や、ソーラーのみでの満充電にかかる時間といった具体的な数値が記載されていない。あくまで「緊急ブースト」としての位置づけであり、ソーラー単体での実用的な充電速度は期待しにくいと考えておくのが妥当だろう。
缶ジュースより小さいポケットサイズ

US/EU/UKのどのプラグバージョンでも、330mlの標準的な缶飲料より小さいコンパクト設計を維持している。ポケット、バッグ、ジャケットの内ポケットに収まるサイズで、壁充電器・ソーラーパネル・複数USBポートを内蔵しながらこのサイズ感を実現している点は注目に値する。
※重量についての注意:キャンペーンページ上では本体重量の明確な記載が確認できなかった。固体電池は一般にリチウムイオン電池より軽量とされるが、ACプラグ・ソーラーパネル・複数ポートなど多くの機能を内蔵しているため、実際の重量感は製品到着後の確認が必要だ。
100W対応のランヤード型USB-Cケーブル
付属のランヤードは単なるストラップではない。取り外すと100W対応のUSB-C to USB-Cケーブルとして使える設計になっている。バックパックにクリップで取り付けることも可能で、必要な時にサッと外してラップトップやタブレットを充電できる。別途ケーブルを持ち歩く手間が一つ減るのは、荷物を減らしたいユーザーにとって地味にうれしいポイントだ。
⚠️飛行機への持ち込み|2026年新ルールとの整合性
Sollyの容量は74Wh(20,000mAh)。一般的なリチウムイオン電池の公称電圧3.7Vで計算すると、3.7V × 20,000mAh ÷ 1,000 = 74Whとなり、キャンペーンページの記載と一致する。
2026年4月24日から適用された日本の機内持ち込み新ルールでは、持ち込み可能なモバイルバッテリーは160Wh以下、1人2個までに統一された。Sollyの74Whはこの基準を大きく下回っており、機内持ち込みは問題ない。2台持ちでも合計148Whとなり、160Whの上限内に収まる。
ただし、新ルールでは機内でのモバイルバッテリーへの充電、および他機器への給電が容量を問わず全面禁止されている。つまり、フライト中にSollyでスマホを充電する使い方はできない。飛行機での利用を考えている方は必ず押さえておいてほしい。
スペック一覧表

| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| バッテリー容量 | 20,000mAh / 74Wh |
| バッテリー種類 | ソリッドステート(固体)バッテリー(※詳細な電解質仕様は未公開) |
| USB-C出力 | ×2ポート、各最大140W(PD 3.1対応)、合計280W |
| USB-A出力 | ×1ポート、最大20W |
| 全ポート合計最大出力 | 300W |
| 充電時間(公称値) | 約26分で満充電(※入力条件の詳細は未公開) |
| 充放電サイクル | 3,500回以上 |
| 壁充電器機能 | 内蔵(US/EU/UK対応プラグ、110V/220V対応) |
| ソーラーパネル | 内蔵(※出力ワット数は未公開、緊急ブースト用途) |
| パススルー充電 | 対応 |
| サイズ | 330ml缶飲料より小型(※具体的な寸法は未公開) |
| 重量 | 400g |
| 付属品 | 100W対応ランヤード型USB-Cケーブル |
| 保護機能 | 過熱・過電流・過電圧・過負荷・低電圧・短絡の6重保護 |
| 第三者安全認証 | UN38.3 / UL / PSE等の取得状況は未確認 |
| カラー | 3色(キャンペーン終了後のサーベイで選択) |
既存モバイルバッテリーとの比較|Anker製品との違い

モバイルバッテリー市場ではAnkerのPowerCoreシリーズが事実上のスタンダードになっている。筆者も仕事で複数台のAnker製品を使い分けているが、Sollyが提示しているスペックはいくつかの点で明確に一線を画している。
出力の違い
Ankerの主要モバイルバッテリーはおおむね65〜100W前後の出力が多い。一方、SollyはUSB-Cだけで最大280W(140W × 2ポート)、USB-Aを合わせて合計最大300Wだ。MacBook Proクラスのラップトップを2台同時に充電できるレベルであり、これはAnkerのモバイルバッテリーラインナップでは見かけない出力帯だ。
壁充電器内蔵という独自性
壁充電器の内蔵は、既存のモバイルバッテリーにはほぼ存在しない機能で、充電器を別途持つ必要がなくなる。110V/220V両対応のため渡航先の電圧も気にしなくていい。Ankerにもプラグ内蔵型の充電器はあるが、20,000mAhバッテリーと壁充電器とソーラーパネルを一体化した製品は筆者の知る限りない。
ソーラーパネル内蔵
Ankerはソーラーチャージャーを別製品としてラインナップしているが、バッテリー本体にソーラーパネルが統合されているのはSollyの独自性と言える。ただし前述の通り、ソーラー充電の実効性能は未知数だ。
価格面
超早割の$59(約9,000円前後)で合計最大300W出力の壁挿し対応ソーラーモバイルバッテリーが手に入るのは、スペック通りの性能が実現するなら十分に魅力的だ。ただし、クラウドファンディング製品であり、量産品との品質差や配送リスクがある点は考慮する必要がある。
クラウドファンディング製品としてのリスクと注意点

Sollyは魅力的なスペックが並んでいるが、Kickstarterのクラウドファンディング製品である以上、以下のリスクを理解した上で支援を検討すべきだ。
- 配送遅延・仕様変更のリスク:クラウドファンディング製品は開発中のプロダクトであり、最終的なスペックや配送時期が変更される可能性がある。
- 「26分フル充電」の条件が未詳:入力ワット数、使用する充電器の仕様、温度条件などが明示されていない。実際の充電時間は条件次第で大きく変わりうる。
- 固体電池の技術的詳細が未公開:全固体電池なのか半固体電池なのか、電解質の種類や製造元など、技術的な詳細が公開されていない。
- 第三者安全認証の取得状況が未確認:UN38.3(輸送安全基準)、UL認証、PSEマーク(日本で電気製品を販売するために必要)などの取得状況がキャンペーンページ上で確認できない。
- ソーラーパネルの充電性能が未公開:ソーラー充電時の出力ワット数や満充電所要時間が記載されていない。
- 本体重量・正確な寸法が未公開:「缶ジュースより小さい」という表現のみで、グラム単位の重量やmm単位の寸法が公開されていない。
- 日本のコンセント規格(Type A)との互換性:US/EU/UKプラグ対応とあるが、日本のType Aプラグ(USと同型)で使用可能かは確認が必要。
筆者コメント:撮影現場と海外ロケでの運用を考える

コマーシャル映像を年間通して制作している経験から言えば、このプロダクトへの期待は大きい。撮影現場や海外ロケでモバイルバッテリーは文字通り生命線であり、特に飛行機の機内持ち込みルールは死活問題だ。
74Whという容量は、2026年4月24日施行の新ルール(160Wh以下、2個まで)を余裕でクリアする。2台持ちでも148Whと基準内だ。$139の2台セットで合計40,000mAh・148Wh運用が可能になる計算で、これは海外ロケの荷物構成を考える上で大きな安心材料になる。
合計最大300W出力はノートPC(MacBook Pro)の充電にも十分で、撮影データのバックアップ作業中に電源が落ちる心配が減る。壁充電器内蔵により、ホテルの部屋でSolly自体の充電器を探す手間もなくなる。渡航先のコンセント規格に合わせた変換プラグも不要。これは地味だが、荷物を1gでも減らしたい海外ロケでは確実に効いてくるポイントだ。
ただし、業務カメラのバッテリー、外部モニター、ワイヤレスマイクのレシーバーなどを同時に回す現場では、20,000mAhだけでは心もとない場面もある。あくまで「メイン電源が切れた時のレスキュー」「移動中のノートPC充電」としての位置づけで、現場のメイン電源を完全に代替するものではない。それでも、1台でバッテリー+充電器+アダプターを兼ねる携行性は、撮影バッグの中身を劇的にシンプルにしてくれるはずだ。
こんな人におすすめ

- 海外出張・旅行が多い人:壁充電器・トラベルアダプター・モバイルバッテリーを1台に集約できる。充電まわりの荷物が劇的に減る。
- 映像クリエイター・フォトグラファー:合計最大300W出力でラップトップ充電にも対応。ロケ現場の電源バックアップとして。74Whで機内持ち込みも安心。
- アウトドア愛好家・防災備蓄を考えている人:ソーラーパネル内蔵で、コンセントのない環境でのセーフティネットに。耐衝撃・防水仕様も安心感がある。
- ミニマリスト志向のガジェット好き:充電器・アダプター・ケーブル・ソーラーの「全部入り」をポケットサイズで持ち歩きたい人に。
- 既存の100W前後のモバイルバッテリーに物足りなさを感じている人:合計最大300W出力と壁充電器内蔵は、明確なステップアップだ。
その他の特徴・オプション
- 充電ステーション(別売り):3台同時充電で300W、5台同時充電で500Wに対応
- 多層インテリジェント保護システム:過熱・過電流・過電圧・過負荷・低電圧・短絡の6つの保護機能をリアルタイムで作動
- 3色のカラーバリエーション(キャンペーン終了後のサーベイで選択)
支援プラン一覧

Screenshot
| プラン | 価格(USD) | 内容 |
|---|---|---|
| 説明書のみ | $1 | Solly説明書 |
| 超早割VIP | $59 | 限定アーリーサポーター向けVIP特典(Solly 1台) |
| 早割VIP | $69 | 限定アーリーサポーター向けVIP特典(Solly 1台) |
| スタンダード | $79 | Solly 1台 – 仕事・旅行・日常のオールインワンソリューション |
| コンプリートセットアップ | $89 | Solly 1台+追加構成 |
| パワーエコシステム | $119 | Solly 1台+フルエコシステム構成 |
| 2台セット | $139 | Solly 2台セット |
| 3台セット | $189 | Solly 3台セット |
2026年4月29日時点の達成率は185%、支援者55人、支援総額5,557 USD(目標3,000 USD)。キャンペーンは2026年6月8日まで、残り40日となっている。
まとめ:充電の「次の当たり前」になれるか
総合的に見て、「Solly」はモバイルバッテリーの形を根本から再定義しようとするプロダクトだ。壁充電器とトラベルアダプターの内蔵、固体電池の採用、合計最大300Wの出力、ソーラーパネルの統合。個々の機能だけでもインパクトがあるのに、それがすべて缶ジュースより小さなボディに収まっているという。
一方で、「26分フル充電」の入力条件、固体電池の技術的な詳細、第三者安全認証の取得状況、ソーラーパネルの実効性能、本体重量など、購入判断に影響する情報が未公開のまま残っている点は正直に指摘しておきたい。クラウドファンディング製品である以上、最終スペックが変更される可能性もゼロではない。
それでも、コンセプトの完成度は高い。壁挿し対応の小型ソーラーモバイルバッテリーという新しいカテゴリーを切り拓こうとする意欲は評価に値する。充電まわりの荷物を根本から見直したい人、特に海外出張やアウトドアで複数の充電デバイスを持ち歩くことにストレスを感じている人にとっては、間違いなくチェックすべきプロジェクトだろう。
支援金額・達成率は2026年4月29日取材時点のものです。最新情報はKickstarterのプロジェクトページにてご確認ください。

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