スマートまな板「ChopBox」とは何だったのか — 2019年に世界で約220万ドルを集めた話題作の、炎上と現在

まな板なのに10機能搭載 - UV除菌も計量もこなす「ChopBox」が話題沸騰中 メインビジュアル

📝 これは2019年の製品の回顧記事です。 「ChopBox」は2019年9月にKickstarterで大ヒットしたスマートまな板ですが、当初2019年12月の出荷予定が大幅に遅延し、2020年には未受領の支援者から返金要求・「詐欺」批判が噴出してコメント欄が炎上した経緯があります。最終的に出荷され、現在はAmazon等で一般販売、日本でもCAMPFIRE等で展開済みの定番製品です。本記事はその顛末を事実ベースで振り返ります(「詐欺」とは断定しません)。

スマートまな板「ChopBox」── UV除菌・計量スケール・包丁研ぎ・タイマーなど10の機能を1枚に詰め込んだこの製品は、2019年9月にKickstarterで公開されるや爆発的にヒットした。世界(Kickstarter/Indiegogo)で約1.6万人・約220万ドル(Kickstarter単体では13,015人・約180万ドル、目標$10,000に対し達成率17,949%/2019年キャンペーン時点)を集め、「世界初のスマートまな板」として一躍話題になった。しかし、その後の道のりは平坦ではなかった。当初2019年12月だった出荷は大幅に遅れ、2020年には「1年遅延・未受領」「返金しろ」「詐欺だ」という声でコメント欄が炎上する。本記事は、7年前の話題作ChopBoxが炎上を経てどうなったのかを事実ベースで振り返る回顧記事だ。先に結論を言えば、ChopBoxは紆余曲折を経て最終的に出荷され、現在はAmazon等で一般販売、日本でもCAMPFIRE(運営: The Yes Design Limited)やRAKUNEWで入手できる定番製品になっている。

※本記事の数値は、世界版=Kickstarter(2019年)、日本版=CAMPFIRE(2021年)の各キャンペーン時点のものです。スペックは日本展開(CAMPFIRE)の情報を優先しています。

ChopBox
目次

ChopBoxとはどんな製品だったのか — 10機能スマートまな板(スペック整理)

ChopBoxは竹製のまな板に電子機能を統合した「10 features」のスマートまな板だ。以下は主にCAMPFIRE(日本版)で公開された仕様で、過去形で整理する。

衛生:UVC除菌(254nm)・包丁も最大3本殺菌

  • 254nmのUVC(紫外線)ライトで、まな板表面や包丁の雑菌を除去。1分間で99.99%除菌をうたい、コロンビア大学アーヴィング・メディカルセンターのUV研究を根拠として提示していた。
  • 包丁は本体右側のスロット(2面のまな板の間)に差し込み、最大3本まで同時に殺菌できる。
  • 多重安全設計:照射角度を工夫して隙間からUVが漏れない構造+殺菌中は2枚のまな板で密閉+まな板を外すと自動でライトオフ(誤照射防止)。UVCの人体影響への配慮として説明されていた。

2枚目のスライドまな板(二次汚染対策)

本体の下にスライド式の2枚目のまな板が収納されており、前後どちらからも引き出せる。生肉・魚と野菜をまな板で分けて使うことで二次汚染(クロスコンタミネーション)を防げる設計で、10機能の中核の一つだ。

計量スケール/タイマー

  • スケール:最大3kg。グラム・ポンド・オンス・キログラムの4単位を長押しで切り替え。風袋(タレ)機能付きで、容器を載せてゼロリセットしてから計量できる。スケール部分も防水。
  • タイマー:最大9時間59分59秒。終了時に音で知らせる。

包丁研ぎ(シャープナー)

ダイヤモンド砥石とセラミック砥石の2種類を内蔵し、研ぎの段階を選べる。別途研ぎ石を用意しなくても調理の合間に手入れが完結する。

防水・バッテリー・サイズ・素材

  • 防水:IPX7相当(水深約1m/3フィートの耐性)。スケール部分も防水で、洗剤で水洗いできる(ライフハッカー・ジャパン)。
  • バッテリー:3000mAh。1時間の充電で最大30日使用可能。充電ポートは複数の日本ソースがMicro-USBと記載しているが、CAMPFIREの内容物には「Type C Cable」表記もあり情報が食い違っている(要確認)
  • サイズ:約45.5×28×3cm(17.9×11×1.2インチ)。消費電力3W、入力5V/1A。
  • 素材:竹。竹は密度が高く水を弾き、反り・割れ・傷に強いことが採用理由とされる(単なる”サステナブル”以上の実用的な利点だ)。

※一部の海外レビュー動画にある「厚さ35mm」は、寸法表記(1.2インチ=約3cm)と食い違っており孫引きの可能性が高い。本記事では約3cmに統一する。

ChopBoxの顛末 — 大ヒットから「1年遅延・炎上」、そして出荷まで

ChopBox

ChopBoxが”伝説”になったのは、そのスペックよりもむしろ、ローンチ後の道のりだ。時系列で整理する。

  • 2019年9月3日:Kickstarterで公開。わずか25分で目標$10,000を達成し、6日で100万ドルを突破。最終的にKickstarterだけで13,015人・約180万ドル(17,949%)を集める大ヒットとなった(The Spoon/My Modern Met)。
  • 当初の出荷予定は2019年12月。しかし出荷は大きくずれ込んだ。新型コロナウイルス(COVID-19)による工場・物流の混乱も重なり、スケジュールは大幅に遅延した。
  • 2020年後半:当初予定から約1年が過ぎても多くの支援者が製品を受け取れず、コメント欄は返金要求や「詐欺ではないか」という批判で炎上。さらに、支援者に届く前に一般販売(小売)を始めたことが問題視され、「先に金を払ったバッカーが後回しか」という不満を招いた。
  • その後、最終的に製品は出荷された。大幅な遅延と返金騒動を経てはいるが、プロジェクト自体は”持ち逃げ”ではなく、製品化・配送までたどり着いている。

本記事は「詐欺」と断定しない。最終的に製品は出荷され、現在も販売が続いているからだ。ただし「派手な達成率=安全」ではないこと、そしてクラウドファンディングでは出荷遅延が現実に起こりうることを示す、代表的な事例ではある。

そして現在 — 一般販売の定番に、日本でもCAMPFIREで展開

炎上を経たChopBoxだが、現在は落ち着いて「買える製品」になっている。

  • 北米ではAmazon等で一般販売され、スマートまな板というニッチで一定の知名度を得た。
  • 日本では2021年にCAMPFIRE(camp-fire.jp、運営: The Yes Design Limited)で展開。支援総額7,159,860円・目標750,000円・達成率954%・支援者423人で2021年9月12日に終了した(お届け予定2021年12月・製品保証6ヶ月)。世界での約1.6万人・約220万ドルという規模とは桁が違うが、日本でも数百人規模の支持を集めた。
  • 並行輸入のRAKUNEWでは34,090円で販売された実績もある。

日本(CAMPFIRE)版の価格(2021年・送料/消費税込み)

  • 1台:15,100円(30%OFF。一般販売想定 21,650円)
  • 2台:29,400円 / 3台:42,450円 / 5台:70,200円 / 10台:140,300円

※いずれも送料・消費税込み、製品保証6ヶ月、お届け予定2021年12月(CAMPFIRE)。RAKUNEWでは34,090円。世界版(2019年Kickstarter)は超早割$99〜・小売想定$199だった。

筆者コメント:一人暮らし経験者として、そして”顛末”を踏まえて

ChopBox

最初にChopBoxを知ったときの第一印象は「まな板にそこまで求めるか?」だった。ただ、自分の生活を振り返ると、これが刺さる層は確実にいる。

私は大学時代から、新卒で入った会社で5年半働いた期間を含めて、約8年の一人暮らし歴がある。料理は野菜炒めや焼きそば程度で凝ったものは作らないが、自炊はそれなりに続けていた。その中で痛感していたのが、一人暮らしのキッチンは本当に狭いということだ。まな板・包丁・スケール・タイマー代わりのスマホ・たまの研ぎ石を並べると、それだけで作業台の半分が埋まる。スケールは細かい隙間を洗うのが面倒で、結局使わず目分量で済ませていた。

だから「全部1枚にまとめる」というChopBoxのコンセプト自体は、過去の自分の生活実感として理にかなっている。とくにまな板の上で切ってそのまま量れるスケール統合は、出す手間も洗う手間も置き場所も減らせて、狭いキッチンでは確かに効く。防水はIPX7相当でスケール部も水洗い可と判明しており、当初不安だった「電子機器入りまな板の清掃」も、ある程度は安心できそうだ。

ただ、手放しでおすすめする気にはなれない。理由は二つある。

一つは「まな板を充電する」という新しい習慣。3000mAhで1時間充電30日とはいえ、料理しようとした瞬間にバッテリー切れ、という脱力は容易に想像がつく。ズボラには地味なハードルだ。

もう一つは、ChopBoxという製品が背負った歴史だ。2019年に世界で約220万ドルを集めながら、出荷は1年以上遅れ、返金騒動で炎上した。最終的に出荷され今は普通に買えるので「詐欺」ではないが、「達成率17,949%」という派手な数字を、そのまま製品の信頼性と読むべきではない、と今ならはっきり言える。1万人超が支援した事実は人気の証明ではあっても、品質や納期の保証ではなかった。

結局、ChopBoxのようなオールインワン家電は「毎日使い続けられるか」で価値が決まる。スケール統合の手軽さに魅力を感じ、充電と清掃の手間を許容でき、そして”クラファンの新製品”ではなく”出荷実績のある定番”として落ち着いた今だからこそ、冷静に選べる製品になった── というのが、一人暮らし経験者としての正直な評価だ。

まとめ — 「炎上した話題作」が定番になるまで

ChopBoxは、まな板に10の機能を詰め込むという力技で2019年に世界を沸かせ、そして配送遅延と返金騒動という”クラファンの負の側面”も体現した製品だ。最終的には出荷され、北米のAmazonや日本のCAMPFIRE(The Yes Design Limited)を通じて、今では落ち着いて買える定番になっている。スマートまな板というアイデアの是非はさておき、「派手な達成率は安全の保証ではない」「クラファンには遅延リスクがある」という教訓と、それでも製品化までこぎ着けた事例として、振り返る価値のある一台だ。

※本記事の数値は、世界版=Kickstarter(2019年9月)、日本版=CAMPFIRE(2021年)の各時点のものです。スペックは日本展開(CAMPFIRE)の情報を優先しています。現在の価格・在庫は各販売チャネルでご確認ください。

参考(いずれも終了済み): ChopBox – Kickstarter(2019年)CAMPFIRE(日本版・2021年)

📌 この記事が役に立ったら、はてなブックマークに追加してください。
ガジェット好きの方にシェアしていただけると励みになります。

この記事について

KINTELA(kintela.net)は「Before it becomes history.」をコンセプトに、Kickstarter / Indiegogo / Makuake を中心とした世界中のクラウドファンディング最新プロジェクトと、カメラ・Apple製品・次世代ガジェットのリーク/発表情報を日本語で発信する専門メディアです。

本記事は公式ソース(クラウドファンディングページ、メーカー公式発表、信頼できる海外テックメディア)から確認できた情報のみを編集部が翻訳・整理しています。スペック・価格・支援プランなどの数値は記事公開時点のものであり、最新情報は必ず公式ページでご確認ください。

編集ポリシー: 推測や憶測でスペックを盛りません。確認できなかった情報は記事に含めません。製品自体のデメリットや懸念点も率直に書きます。

この記事を書いた人

KINTELA編集部 / 映像クリエイター

大阪を拠点に活動する映像クリエイター・AIクリエイター・SNSコンテンツクリエイター。プロダクトCM、ブランドムービー、Web CM、ポートレート撮影などコマーシャル映像制作を本業とし、Sonyシネマライン・GMレンズシリーズ・Canon Cinema EOS・LUMIX Sシリーズなどを実案件で運用。撮影現場・編集ワークフロー・カラーグレーディング(Premiere Pro / After Effects / Cinema 4D)まで自走できる立場から、新製品・クラファンプロダクトを「自分の仕事で使えるか」「ワークフローのストレスを減らせるか」という現場視点で評価しています。

得意分野: 映像制作機材・カメラ・レンズ・AI活用ガジェット・次世代テクノロジー・海外トレンドのキャッチアップ。

シェアしてくれたらめちゃくちゃ喜びます!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

Before It Becomes History - 次の時代に刻まれるものを、今見つける。をテーマに最新ガジェットや次世代AIサービス、発売前のリーク情報などを発信するwebメディア「KINTELA」。
編集長である筆者の本職は、実は映像ディレクター。日々、撮影編集に追われる傍らで、ガジェットやAIにも触れる機会が多く、自身の体験をもとに「KINTELA」を執筆・運営しています。

コメント

コメントする

目次