Gemini 4 Argon、PCを離れても作業するとうたう「タスク」機能付きでGeminiアプリに登場 ChatGPT・Claudeとの違いも
Googleは2026年10月13日、新しいAIモデル「Gemini 4 Argon」をGeminiアプリで提供開始したと公式ブログ(blog.google)で発表した。対象はGoogle AI Pro/Ultraの加入者だ。チャット画面から「タスク」に切り替えると、ユーザーがパソコンの前にいない間もGeminiが作業を続けるという。このタスクは、Googleが2026年5月からベータ提供してきたエージェント機能「Gemini Spark」を改名したものだ。Geminiの公式ヘルプは、Sparkを「わかりやすくするためにTaskに名称を変更した」と説明している。チャットとスイッチで切り替えられる形で、メインのチャット画面に統合された。本記事では、2026年10月16日時点の公式情報と海外の反応をもとに、新機能の実態と他社との違いを整理する。

この記事の要点
- Gemini 4 ArgonがGeminiアプリで使えるようになった。対象はGoogle AI Pro/Ultra加入者
- チャット画面のスイッチで切り替える「タスク」では、PCを離れている間もGeminiが作業するとGoogleは説明している
- Instacart・OpenTable・Adobe・Shopifyなど40以上のアプリと連携。Gemini macOSアプリにはAntigravityのコーディング画面も搭載された
Gemini 4 Argonとタスク機能が登場した背景
生成AIの競争は、質問に答える段階から、ユーザーの代わりに作業を進める「AIエージェント」の段階へシフトしつつある。ChatGPTやClaudeが自律的に作業する機能を相次いで投入する一方、Googleもモデルの刷新と、既存のエージェント機能「Gemini Spark」のチャット画面への統合を同時に打ち出した形だ。
Googleの説明によると、Gemini 4 Argonは「最先端の推論」を備え、複雑なタスクでの性能が向上したという。回答の質にも改善が入っている。Argonは余計な前置きや予防線を削ぎ落とし、要点から答えるよう調整された。同じ内容の繰り返しや定型句も減らされており、長い作業では、進捗状況をこれまでより頻繁に、効果的に伝えるようになったという。
想定されるユーザーは大きく2つに分かれそうだ。一つは、Googleのアプリ群を日常的に使い、細かい作業をAIに任せたい一般ユーザー。もう一つは、チャットとコーディングを行き来する開発者層である。
Gemini 4 Argonのスペック・特徴・対象プラン
以下の表は、Google公式ブログの発表内容と、掲載された画面画像をもとにまとめたものだ。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| モデル名 | Gemini 4 Argon |
| 提供先 | Geminiアプリ |
| 対象 | Google AI Pro/Ultra加入者 |
| 提供開始 | 2026年10月13日(発表と同日) |
| モデルの特徴(Googleの説明) | 最先端の推論、複雑なタスクでの性能向上、コーディング性能の大幅な改善 |
| 作業モード(従来のGemini Sparkを統合) | チャット画面で「Chat」と「Task(タスク)」をスイッチで切り替え |
| 外部アプリ連携 | 40以上(Instacart、OpenTable、Adobe、Shopifyなど) |
| コーディング | Googleのエージェント型開発環境「Antigravity」のコーディング画面をGemini macOSアプリに搭載(英語のみ、18歳以上、Antigravityの対応地域で利用可) |
| 料金 | Google AI Pro:月額2,900円/Google AI Ultra:月額14,500円(利用上限が大きい上位構成は月額32,000円)。今回の発表には記載がなく、Googleのプラン紹介ページ(2026年10月16日確認)による |
※出典:Google公式ブログ(2026年10月13日)と掲載画像、Geminiの公式ヘルプ(タスク機能)、Googleのプラン紹介ページ(料金)
チャット画面からワンタッチで切り替えられる「タスク」モード
公式画像を見ると、入力欄には「What can I take off your plate?(代わりに片付けてほしいことは?)」と表示されている。その周りに「Ask Gemini」、モデル選択の「Argon」、そして「Chat」と「Task(タスク)」の切り替えスイッチが並ぶ。チャットとエージェントを別々のアプリに分けず、同じ入力欄でモードを選ぶだけで使い分ける設計になっている。
Googleの説明では、タスクを選ぶとユーザーがパソコンの前にいなくてもGeminiが作業を進める。Googleのアプリや外部アプリをまたぐ作業も手伝ってくれるという。
40以上のアプリと連携
Geminiが連携できるアプリは40を超えた。Googleが挙げる例としては、Instacart(米国の食料品配達サービス)での買い物、OpenTable(米国発の飲食店予約サービス)でのレストラン予約、AdobeやShopifyを使ったデザイン制作や事業づくりなどが挙げられている。Instacartは主に北米向けのサービスであり、OpenTableは日本でも展開している。ただし公式リリースノートによると、連携アプリの多くは米国で英語のみの提供で、一部が他の英語圏・ブラジル・インドに広がっている段階だ。日本は対象地域に挙がっていない。
Antigravityのコーディング画面がmacOSアプリに
Googleの発表によると、Argonはコーディング性能も大きく改善された。これに合わせて、Googleのエージェント型開発環境「Antigravity」のコーディング画面が、Gemini macOSアプリから直接使えるようになった。チャットとコーディングを行き来しやすくするための施策である。
Gemini・ChatGPT・Claudeのエージェント機能を比較
Googleの発表に他社との比較は含まれていない。ここでは、ChatGPTの「dots」とClaudeの「Cowork」を並べ、各社の公式情報と報道をもとに整理する。「筆者の使用感」の行だけは、dotsとCoworkを日常的に使っている筆者の感想だ。
| 観点 | Gemini(タスク) | ChatGPT(dots) | Claude(Cowork) |
|---|---|---|---|
| 登場時期 | 2026年5月19日に「Gemini Spark」として米国でベータ提供を開始。2026年10月に「タスク」へ改名し、チャット画面に統合 | 2026年9月29日(OpenAIの開発者向けイベント「DevDay 2026」で発表) | 2026年1月12日に研究プレビューを開始し、4月9日に一般提供。9月16日からはチャットと一つの「Claude」への統合が順次進んでいる |
| PCを離れている間の動き | パソコンの前にいなくても作業するとGoogleは説明。ただし公式ヘルプでは、手元のブラウザを使う作業はPCとChromeを起動したままにする必要がある。端末を閉じても作業が続くと明記しているのはモバイル端末だけ | dotごとに専用のクラウドPCとブラウザがあり、常に動き続ける。手元のPCとは切り離されており、つなぐかどうかは任意 | 2026年7月7日から作業をクラウドで実行(ベータ)。ノートPCを閉じても作業が続き、予定したタスクは端末がオフラインでも動く。手元のファイルやアプリを使う作業は、デスクトップアプリを開いておく必要がある |
| 対象プラン(料金) | Google AI Pro(月額2,900円)/Google AI Ultra(月額14,500円〜) | ChatGPT Pro(月額100ドル版は16,800円)とBusiness Premium。Enterpriseは管理者が有効にするとベータで使える。最初のdot1つは追加料金なし | Pro(月20ドル)とMax(月100ドル〜)から順次。TeamとEnterpriseにも含まれる。日本円の公式価格は掲載なし |
| 連携できるアプリ・サービス | 40以上(Instacart、OpenTable、Adobe、Shopifyなど)。多くは米国・英語のみの提供 | プラグイン経由で4,000以上(Slack、Notion、Google Driveなど) | 公式ディレクトリに900以上のコネクタ(2026年10月16日時点。Google Drive、Gmail、Microsoft 365、Slack、Notion、Canvaなど) |
| 他と違う特徴 | チャットとタスクをスイッチ1つで切り替えられる。予約や買い物など、生活寄りのサービスとの連携を例に挙げている | dotごとに専用のクラウドPCで動く。頼まれた仕事がないときも、自分から手助けを探す「先回りリサーチ」を行う(この間は連携アプリを読み取りだけで使う) | 2026年7月からクラウドでのバックグラウンド実行に対応。9月からは、モードを選ばずどの会話からでもCoworkの機能を使える |
| 日本で使えるか/除外地域 | 使える。除外はEEA(欧州経済領域)・ナイジェリア・スイス・英国。18歳以上、個人のGoogleアカウント、Personal Intelligenceの有効化が必要 | Proは日本も対象。除外はEEA・スイス・英国(Business Premiumは全提供地域で利用可) | 日本はClaudeの提供国に含まれる。Coworkについて地域の除外は公式リリースノートに記載なし |
| 筆者の使用感 | まだ使い込めていない | 放っておいても進む感覚が最も強い | エージェントとして作業を任せられる(併用中) |
※出典:Gemini=Google公式ブログ(2026年10月13日)、Geminiの公式ヘルプとリリースノート、Googleのプラン紹介ページ/dots=SiliconANGLE、The Next Web(いずれも2026年9月29日)、Impress Watch(料金、2026年4月10日)/Claude=Claudeの公式リリースノート、料金ページ、コネクタ一覧、Anthropicの提供国一覧。いずれも2026年10月16日時点の情報
Geminiの強みは、Googleのアプリ群と外部サービスを「つなぐ」領域の広さにある。食料品の注文や店の予約といった生活寄りのタスクまで公式に例として挙げている点は、ほかの2つとは異なる視点だ。一方で、PCを離れている間の動き方には差がある。dotsとClaudeは、作業がクラウドで続くことを公式に明記している。Geminiのタスクは、PCの前にいなくても作業するとうたうものの、公式ヘルプを見る限り、手元のブラウザを使う作業ではPCを起動しておく必要がある。料金の入り口にも差があり、GeminiはGoogle AI Pro(月額2,900円)から使えるが、dotsはChatGPT Pro(月額16,800円〜)以上が対象だ。ChatGPT・Claudeとの具体的な使い分けについては、後述の筆者コメントで詳しく触れている。
Gemini 4 Argonの海外での評価
インドのテックメディアAnalytics VidhyaのVasu Deo Sankrityayan氏は、動画生成、Webサイト制作、データ分析、文書の突き合わせという4つの実務タスクでGemini 4 Argonを試した。
In our hands-on tests, Argon delivered useful results but also introduced an unsupported claim in a launch summary.
同氏の評価をまとめると、実際に試したところ役立つ結果は出たものの、リリース概要を要約させた際には根拠のない主張が混ざったということだ。
米国のメディア企業Everyのポッドキャストでも意見は分かれた(BigGo Financeの要約記事による)。Dan Shipper氏は長文の構成力を高く評価し、8,000語の原稿の執筆期間を2~3日短縮できたと述べている。一方で、パネルからは次のような批判も挙がった(文章の難しさはKatie Parrott氏、製品間の連携はMike Taylor氏の指摘。Antigravityの遅れはパネル全員が一致した見方)。
- 出力される文章の難易度が競合より約2学年分高い
- 開発環境のAntigravityはライバルより約1年遅れている
- 製品間の連携がばらばらだ
同記事は次のようにまとめている。
Google has closed the raw model gap with its Gemini 4 Argon release, but its own product surfaces are now the biggest obstacle to adoption
簡潔に言えば、モデル単体の性能は他社に追いついたが、普及の最大の壁はそれを載せるGoogle自身の製品の作り込みにある、という見立てだ。
筆者コメント:率直な評価
今回の発表でいちばん注目したのは、モデルの性能よりも「PCを離れている間も作業を続ける」エージェント機能のほうだ。最近の流れを振り返ると、2026年1月にClaudeのCowork、5月にGeminiのSpark(今回の「タスク」の前身)が登場し、9月にはChatGPTにも「dots」が加わった。そして今回、GeminiはSparkを「タスク」としてチャット画面に統合し、より手軽に使えるようにした。ポイントは、仕事を渡したらパソコンの前を離れても、AIが作業を進めてくれることだ。人間がパソコンの前に張り付いて指示を出し続ける使い方から、仕事を渡して離れる使い方へ。3社とも、そこへ向かい始めたのだと思う。ただし、離れ方にはまだ差がある。dotsとCoworkは作業がクラウドで続くので、PCを閉じても進む。一方Geminiのタスクは、手元のブラウザを使う作業ではPCを起動しておく必要がある。PCごと手を離せるという意味では、今のところdotsとCoworkが一歩先にいると筆者は見ている。
読者がいちばん気になるのは、3つのAIのエージェント機能にどんな差があり、何が得意で何が不得意か、どう使い分ければいいかだろう。筆者はいまChatGPTのdotsとClaudeのエージェント機能(Cowork)の2つを使っている。今のところ、「放っておいても勝手にやってくれる」という点では、dotsが一歩リードしていると感じる。任せたあとに細かく確認し直す手間が少ないのだ。比較表で確認した公式の特徴を見ると、この差には理由がありそうだ。dotsは1つずつ専用のクラウドPCを持って常に動いており、頼まれた仕事がないときも、自分から手助けを探す「先回りリサーチ」を行う。指示を待つのではなく、次の仕事を自分で探しにいく設計なのだ。筆者が感じている「放っておいても進む」感覚は、この設計から来ているのだと思う。
Geminiはまだ実際に使い込めていない。ただ、公式発表から読み取れる強みは明確だ。Googleのアプリ群に加え、InstacartやOpenTable、Adobe、Shopifyなど40以上のアプリとつながる。つまり、作業をつなげられる先の多さで勝負している。普段からGoogleのサービスを中心に予定やデータを管理している人なら、置き場所を移さずにエージェントを使える点はわかりやすい利点になる。一方で、海外ではAntigravityの遅れや製品間の連携のばらつきが指摘されている。現時点では、つながる先は多いが、それが滑らかに動くかはまだ分からない、というのが正直な見方だ。
使い分けの基準としては、まず「普段どのサービスにデータや作業を置いているか」で選ぶのが現実的だと考えている。そのうえで、放置して任せたい作業はdots、ClaudeのCoworkはこれまで通り併用し、Geminiはタスク機能を実際に試してから判断するつもりだ。もうひとつ気をつけたいのは、Analytics Vidhyaが指摘した「要約に根拠のない主張が混ざる」問題だ。PCを離れて任せる時間が長くなるほど、途中で人が気づける機会は減る。どのAIを選ぶにしても、仕上がりを最後に人の目で確認する工程は外さないほうがいい。
なお、AIエージェントを自分で組み立てる方向に興味がある人は、Obsidian×Claude Codeで24時間AI秘書を作る方法 – 海外で話題の活用術も参考になる。ハードウェアからPCをエージェント化する試みとしては、挿すだけでPCをAIエージェント化するとうたう小型デバイス「Violoop」も紹介している。
Gemini 4 Argonはこんな人におすすめ・総評
Gemini 4 Argonとタスク機能が向いているのは、次のような人だ。
- Googleのアプリ群を日常的に使っていて、細かい作業をAIに任せたい人
- 予約や注文、デザインなど、外部サービスをまたぐ作業をまとめてAIに頼みたい人
- macOSでチャットとコーディングを行き来する開発者
すでにGoogle AI Pro/Ultraに加入していて、提供地域に含まれていれば、追加料金なしで試せる見込みだ。その場合は、まず触ってみる価値がある。一方、エージェント機能を目当てに新規加入するかどうかは、ChatGPTやClaudeの同種機能と比べたうえで判断するのがよい。海外の指摘にもあるように、製品の作り込みにはまだ改善の余地が見える。
本記事の情報は2026年10月16日時点のものである。最新情報は公式サイトで確認してほしい。
Gemini 4 Argonに関するよくある質問
Q. Gemini 4 Argonは日本でも使えるのか?
A. 公式リリースノートによると、Gemini 4 ArgonはGoogle AI Pro/Ultra加入者向けに全世界で順次提供される。タスク機能も、公式ヘルプではEEA・ナイジェリア・スイス・英国を除くGemini提供地域で使えるとされており、日本は除外地域に入っていない(18歳以上・個人のGoogleアカウント・Personal Intelligenceの有効化が必要)。
Q. 無料プランでもGemini 4 Argonやタスク機能は使えるのか?
A. 公式発表で利用対象として明記されているのは、Google AI Pro/Ultraの加入者だけだ。無料プランでの提供は公式情報では確認できない。
Q. Google AI Pro/Ultraの料金はいくらか?
A. 今回の発表には料金の記載がない。Googleのプラン紹介ページ(2026年10月16日確認)では、Google AI Proが月額2,900円、Google AI Ultraが月額14,500円(利用上限が大きい上位構成は月額32,000円)となっている。Gemini 4 Argonとタスク機能は、どちらのプランでも利用対象だ。
Q. タスク機能やGeminiは日本語に対応しているのか?
A. タスク機能(旧Gemini Spark)は、公式ヘルプの更新履歴によると2026年7月からGoogle AI Ultra加入者向けにGeminiアプリの全言語で提供されている(Pro加入者向けは同月に米国・英語で提供開始)。Gemini 4 Argonの日本語での品質については公式な説明はない。なお、macOSアプリのAntigravity統合は英語のみとされている。
Q. InstacartやOpenTableとの連携は日本でも使えるのか?
A. Instacartは主に北米向けのサービスで、OpenTableは日本でも展開している。ただし公式リリースノートによると、連携アプリの多くは米国で英語のみの提供で、一部が他の英語圏・ブラジル・インドに広がっている段階だ。日本は対象地域に挙がっていない。
Q. Antigravityのコーディング画面はWindowsでも使えるのか?
A. 公式発表で明記されているのは、Gemini macOSアプリへの搭載だけだ。Windows版については公式情報では確認できない。
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