UGREEN AI NAS(NASync iDXシリーズ)レビュー|ローカルAI搭載・最大196TBのプライベートクラウドNAS
クラウドに頼らないプライベートクラウド環境を自宅に構築できる次世代NAS「UGREEN AI NAS(NASync iDXシリーズ)」が、Kickstarterで支援を募集中だ。Intel Core Ultra 7プロセッサと最大96 TOPSのAI演算能力を搭載し、すべてのAI処理をローカルで完結させる。ストレージの枠を超えた”AI推論マシン”として、世界中のテック系コミュニティから注目を集めている。
2026年4月12日時点の支援状況を見ていこう。
- 支援総額:約872万ドル(目標金額99,999ドルに対し、達成率8,724%)
- 支援者数:3,816人
- 締切:2026年4月23日予定(残り約11日)
※上記の支援額・達成率・支援者数・残り日数は2026年4月12日取材時点のデータです。リアルタイムで変動するため、最新情報は公式Kickstarterページにてご確認ください。締切日はKickstarter側の判断により変更される場合があります。
UGREEN AI NASとは?従来NASとの違い

写真、動画、ドキュメント——日々生成するデジタルコンテンツの量は増え続けている。スマートフォンに入りきらない写真はクラウドへ、仕事の動画素材は外付けHDDへ、重要書類はまた別のドライブへ。気がつけばデータは複数のデバイスやサービスに散在し、「あの写真どこにあったっけ?」と探す時間だけが積み上がっていく。
従来のNASやクラウドストレージは、結局のところ「データを保管する箱」に過ぎなかった。ファイル名やフォルダ構造を覚えていなければ、目的のデータにたどり着くのに手間がかかる。保存すればするほど収拾がつかなくなり、せっかく大容量を確保しても活用しきれない——そんなジレンマを抱えている人は少なくないだろう。
UGREENが今回Kickstarterに投入した「UGREEN AI NAS(NASync iDXシリーズ)」は、この「受動的なストレージ」を過去のものにしようとしている。保存したデータをAIが中身を認識して自動で分類し、自然言語で検索できるうえ、ユーザーとの対話まで可能にする。しかも、すべての処理がローカルで完結するため、プライベートクラウドとしてプライバシーの懸念なく運用できる。従来のNASが「ファイルを置く場所」なら、UGREEN AI NASは「ファイルを理解する場所」——根本的に異なるアプローチだ。
NASync iDX6011 Proの詳細スペック
Intel Core Ultra 7搭載のAI演算ハードウェア

まずは心臓部を見ていこう。最上位モデル「NASync iDX6011 Pro」は、Intel Core Ultra 7 255Hを搭載する。Arc GPUとAI Boost NPUを内蔵し、AI演算能力は最大96 TOPSに達する。
正直に言おう、96 TOPSという数字を見たとき声が出た。NASに積む性能じゃない、もはやAI推論マシンだ。一般的なNAS製品のAI機能が軽量な推論処理にとどまるなか、ワークステーション級の演算能力をストレージ筐体に詰め込んでいる。
主要スペックをまとめた。
| 項目 | NASync iDX6011 Pro スペック |
|---|---|
| プロセッサ | Intel Core Ultra 7 255H(Arc GPU + AI Boost NPU搭載) |
| AI演算能力 | 最大96 TOPS |
| メモリ | 最大64GB LPDDR5X RAM(転送速度8,400 MT/s) |
| ストレージ容量 | 最大196TB ※下記注参照 |
| ドライブベイ | 6ベイ(3.5インチ/2.5インチ SATA HDD/SSD対応) |
| SSDスロット | デュアルM.2 NVMe(最大64 GT/sのキャッシュ速度) |
| ネットワーク | デュアル10GbE LAN |
| Thunderbolt 4 | ×2(各40Gbps) |
| OCuLinkポート | 外部GPU接続によるAI性能拡張対応 |
| HDMI出力 | 8K対応 |
| SDカードスロット | SD 4.0対応 |
| USB 3.2 | ×2(10Gbps) |
| PCIe Gen4 x8 | ×1 |
| USB 2.0 | ×2 |
| ディスプレイ | 3.7インチタッチ対応LCDパネル(CPU/GPU/NPU/RAM/ストレージ/ネットワーク状態をリアルタイム表示) |
| 筐体 | アルミニウム合金(マット仕上げ) |
| 防塵 | 背面マグネット式ダストメッシュフィルター |
※最大196TBについて:UGREEN公式の仕様値であり、6ベイのHDD+デュアルM.2 NVMe SSDの合算値と考えられます(例:6ベイ×30TB HDD=180TB + M.2 SSD×2基=16TB、合計196TB)。RAID構成を組む場合は冗長性のために実効容量が減少するため、すべてを単一ボリュームとして使える容量ではない点にご注意ください。


ローカルAI機能の詳細|クラウド不要のオンデバイスAI
ハードウェアの性能を活かすソフトウェア面も充実している。独自OS「UGOS Pro」上で動作するローカルAI機能群は、いずれもクラウドを経由せずデバイス内で完結する。プライベートクラウドとして、データを外部に一切送信せずにAIを活用できる点が最大の差別化ポイントだ。
- グローバル検索:ローカルに保存された写真・動画・ドキュメント・アプリを横断検索。自然言語のキーワードで瞬時に結果を返す
- Uliya AIチャット:NASと対話形式でやり取りが可能。ドキュメントの要約、ファイルの翻訳、プライベートデータに基づく質問への回答、再生コントロールまで対応。すべてのデータと会話はローカルに留まる
- ボイスメモ:オンデバイスAIが音声を文字起こしし、要点の要約、多言語翻訳、マインドマップへの構造化変換までをクラウド不要で即座に処理
- AIアルバム:写真や動画を自動的にインテリジェントに分類。日常言葉で「去年の夏に海で撮った写真」のように検索するだけで該当ファイルにたどり着ける
- AIファイル整理:Uliyaに整理の方針を伝えてファイルを選択するだけで、ドキュメント・写真・ダウンロードファイルが指定した方式で自動整理される
- ビルトインLLM:大規模言語モデルを内蔵し、上記AI機能の中核を担う
UGOS Pro — NAS統合管理OS
専用OS「UGOS Pro」は、すべてのNASアプリケーションを単一のインターフェースに統合する。ガイド付きセットアップに対応し、スマートフォン・タブレット・PC・テレビからシームレスにアクセス可能だ。セキュリティ面では、プロ仕様の暗号化プロトコル、リアルタイムウイルススキャン、柔軟な権限管理を備えた「セキュリティマネージャー」を搭載する。複数RAIDレベルに対応し、ハードドライブ障害時のデータ復旧にも対応している。
アドオン:eGPUドック
未発売モデル「CM990」向けに、eGPUドックのアドオンも用意されている(CM990のMSRPは669.99ドル)。eGPUドックの出荷は2026年9月を予定しており、配送対象国は限定される。
Kickstarter支援プランと価格一覧

すべてのプランに送料込み・関税/VAT込み・3年間のハードウェア保証が付帯する。クラウドファンディングならではの割引が適用されたプランが複数用意されており、主なプランは以下のとおりだ(2026年4月12日時点)。
| 支援金額(USD) | 内容 | 割引率 |
|---|---|---|
| 1,189ドル | アーリーバード枠(MSRP 1,699ドル相当) | 約30%オフ |
| 1,359ドル | 通常割引枠(MSRP 1,699ドル相当) | 約20%オフ |
| 1,399ドル | 上位構成(MSRP 1,999ドル相当) | 約30%オフ |
| 1,699ドル | デポジットホルダー限定(差額返金で最終価格999ドル保証) | — |
| 1,699ドル | 通常プラン(MSRP相当) | — |
| 1,819ドル | 最上位構成(MSRP 2,599ドル相当) | 約30%オフ |
| 1,999ドル | デポジットホルダー限定(差額返金で最終価格1,199ドル保証) | — |
| 1,999ドル | 通常プラン(MSRP相当) | — |
| 2,599ドル | デポジットホルダー限定(差額返金で最終価格1,559ドル保証) | — |
事前にデポジットを支払っていたユーザーには差額返金による大幅な割引が保証されるスキームが組まれている。最もアクセスしやすいのは1,189ドルのアーリーバード枠(MSRP 1,699ドルの約30%オフ)だ。
196TBのストレージとローカルAI推論を1,189ドルから手に入れられるとなると、同等の環境を自作で組む場合のコストを考えれば、かなり現実的な価格設定に見えてくる。
※各プランの在庫状況・販売状況はリアルタイムで変動します。最新の支援プランは公式Kickstarterページでご確認ください。
保証体制
- 本体:3年間の限定ハードウェア保証
- 付属品(電源アダプター・ケーブル等):1年間の保証
- ハードドライブ等サードパーティ製品:各メーカーの保証ポリシーに準拠
工場紹介動画の情報
キャンペーンページには「UGREEN AI NAS: Inside the Factory」と題された工場紹介動画が埋め込まれている。動画タイトルから、UGREENの製造拠点におけるNASync iDXシリーズの生産過程を紹介する内容であることがうかがえるが、今回の取材では動画の詳細なトランスクリプトを確認できなかったため、具体的な内容の言及は控える。
UGREEN AI NASの率直な評価|メリットと注意点
NASの再定義とも言えるプロダクト
率直に言って、このプロダクトは「NAS」という枠組みで語るのが適切なのか迷うほどの存在だ。Intel Core Ultra 7にデュアル10GbE、Thunderbolt 4が2ポート、OCuLinkまで備えるとなると、ネットワーク接続型のAIワークステーションと言った方が正確だ。
映像制作の仕事で大量のRAWデータや4K/8K映像素材を扱う身として、このプロダクトには強い魅力を感じる。現在、仕事のデータ管理には複数の外付けドライブとクラウドサービスを併用しているが、196TBのローカルストレージに加えて自然言語での検索やAIによるファイル整理が可能となれば、ワークフローの効率は劇的に改善するだろう。
特にThunderbolt 4が2ポートあるのは映像クリエイターにとって大きな利点だ。40Gbpsの帯域で直接大容量素材をやり取りできるなら、NASをメインのプロジェクトストレージとして運用する現実的な選択肢になる。DaVinciでカラーグレーディングまで日常的に行っている身としては、10GbEのデュアルポートと合わせて、ネットワーク経由でも直結でもボトルネックになりにくいインターフェース構成は非常に魅力的だ。
8K HDMI出力でNASをメディアハブにできるという提案も興味深い。撮影した8K素材をそのまま大画面で確認できるなら、プレビュー用に別途デコード環境を用意する手間が省ける。
クラウドファンディング特有のリスクと注意点
一方で、冷静に見るべきポイントもある。
まず、クラウドファンディング特有のリスクとして、プロジェクトページ自体が「製造タイムライン、サプライチェーンの調整、地域ごとの物流に関する課題が発生する可能性がある」と明記している。特にIntel Core Ultra 7 255Hのような最新プロセッサを大量調達するサプライチェーンが、スケジュール通りに安定するかどうかは注視が必要だ。
また、ローカルAI機能の実用性については、ベータユーザーの声がキャンペーンページに掲載されてはいるものの、具体的なレビュー内容までは今回の調査では確認できなかった。ローカルLLMの精度やレスポンス速度、日本語対応のクオリティについては、製品が手元に届くまで実際のパフォーマンスを判断しきれない部分が残る。
価格面では、NAS単体として見れば1,189ドル〜は決して安くない。QNAPやSynologyのミドルレンジモデルと比較すると明らかに上の価格帯だ。ただし、96 TOPSのAI演算能力、64GB LPDDR5X RAM、Thunderbolt 4、OCuLink対応という構成を個別に揃えようとすれば、この価格では到底収まらない。「NASにこれだけ出すか」ではなく「この構成がこの価格で手に入るか」という視点で評価すべきプロダクトだろう。
もうひとつ注意したいのが、eGPUドックのアドオン。2026年9月出荷予定で配送対象国も限定されるため、OCuLinkを活かした外部GPU拡張を前提に購入を考えている場合は、日本が対象地域に含まれるかどうかの確認が必須だ。
自分が使うならこう活用する
機材への投資を日常的に行っている者として正直に言えば、この製品を導入するなら、まず映像プロジェクトのアーカイブ+アクティブストレージとしての運用を考える。撮影した素材を案件ごとにNASへ集約し、AIによる自動整理と自然言語検索で過去素材の再利用効率を上げるのだ。クライアントから「前に撮ったあの雰囲気の映像、もう一度使えない?」と言われたとき、Uliyaに聞くだけで該当素材が出てくるなら、それだけで仕事のスピードが変わる。
また、ボイスメモ機能による議事録自動生成やマインドマップ変換は、制作の打ち合わせが多い現場には非常にありがたい。ただ、日本語の音声認識精度がどの程度かは実機を試すまで未知数であり、この点が期待外れだった場合の落胆は大きいだろう。
UGREEN AI NASはこんな人におすすめ

- 大量の映像・写真データを扱うクリエイター:最大196TBの大容量とThunderbolt 4/10GbEの高速インターフェースにより、プロの制作ワークフローにそのまま組み込める
- プライバシーを重視しつつAI活用したい人:すべてのAI処理がローカルで完結するプライベートクラウド型のため、機密データや個人情報を外部に出す必要がない
- NASの管理に疲れた人:自然言語での検索・整理・対話が可能なため、従来のフォルダ管理から解放される
- ホームメディアサーバーを高品質に構築したい人:8K HDMI出力でNASから直接テレビへの高品質再生が可能
- 将来的にAI性能を拡張したい人:OCuLinkポートによるeGPU接続で、後からAI処理能力を強化できる拡張性を備えている
逆に、単純なファイル保管だけで十分という方や、NASに10万円以上かけるつもりがない方には、QNAPやSynologyなど既存のミドルレンジNASの方が合っているだろう。
UGREEN AI NASに関するよくある質問(FAQ)
- Q. UGREEN AI NASのAI処理にクラウド接続は必要ですか?
- A. いいえ。すべてのAI機能(自然言語検索、AIチャット、ファイル自動整理、音声文字起こしなど)はローカルで完結します。データが外部サーバーに送信されることはなく、プライベートクラウドとして安全に運用できます。
- Q. 最大196TBの内訳はどうなっていますか?
- A. NASync iDX6011 Proは6ベイのHDD/SSDスロットとデュアルM.2 NVMe SSDスロットを搭載しています。196TBはこれらすべてのスロットに対応する最大容量のドライブを搭載した場合のメーカー公称値です。RAID構成を組む場合は冗長性確保のため実効容量は減少します。
- Q. QNAPやSynologyの既存NASとの最大の違いは何ですか?
- A. 最大の違いは、Intel Core Ultra 7プロセッサ搭載による最大96 TOPSのローカルAI演算能力です。従来NASのAI機能が軽量な画像分類程度にとどまるのに対し、UGREEN AI NASはビルトインLLMによる対話型AI、自然言語検索、音声文字起こし・翻訳など、より高度なAI処理をローカルで実行できます。
- Q. 日本からKickstarterで支援できますか?
- A. NAS本体は日本への配送に対応しています(送料・関税込み)。ただし、eGPUドック(2026年9月出荷予定)は配送対象国が限定されるため、日本が含まれるかは公式Kickstarterページで最新情報をご確認ください。
- Q. 保証はどうなっていますか?
- A. 本体は3年間の限定ハードウェア保証、付属品(電源アダプター・ケーブル等)は1年間の保証が付帯します。ハードドライブ等のサードパーティ製品は各メーカーの保証ポリシーに準じます。
まとめ:ストレージとAIの境界を溶かす野心的なNAS
総合的に見て、UGREEN AI NAS(NASync iDXシリーズ)は「ストレージ」と「AI推論マシン」の境界を溶かす野心的なプロダクトだ。達成率8,724%(2026年4月12日時点)という数字が示すとおり、このコンセプトに強く共感するユーザーが世界中に存在することは確かだ。
ローカルAIによるプライベートクラウドという提案は、クラウドサービスへのデータ依存やプライバシーへの不安が高まる時代の中で、NASの新しい在り方を示している。クラウドファンディング特有のリスクは踏まえつつも、この構成・この価格で手に入る機会は限られている。2026年4月23日の締切(予定)までに、判断材料は十分に揃っているはずだ。
※本記事の支援金額・達成率・支援者数・残り日数はすべて2026年4月12日時点の情報です。Kickstarterキャンペーンの各種データはリアルタイムで変動し、締切日も変更される可能性があります。最新情報は必ず公式Kickstarterページにてご確認ください。
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